近年、毎年のようにニュースで「記録的な大雨」「数十年に一度の豪雨」という言葉を耳にするようになりました。
雨の日になると、我が家の小学生の娘はお気に入りの可愛い長靴を履いて「水たまり入ってくる!」と意気揚々と出かけていきます。
日常の雨なら微笑ましい光景ですが、これが「災害レベルの大雨」での避難となると話は全く別です。
私が「もしお水がいっぱい溢れて逃げる時は、絶対に長靴じゃなくてスニーカーを履くんだよ」と教えたところ、娘からは「じゃあなんで『長靴』って雨の日に履くみたいな顔して売ってるの?パパの説明不足じゃない?」と、相変わらず鋭すぎるクレームをいただきました。
……いや、パパが売ってるわけじゃないんだけどね。
この記事を書いている私は、救急救命士です。
水害の現場で救助に向かうと、娘の言う通り「雨だから」という理由で長靴と傘を選んでしまい、パニックに陥っている方を数多く目の当たりにします。
今回は、プロの視点から「なぜ大雨避難での長靴と傘がNGなのか」という理由と、子供の命を守る「正しい避難スタイルとタイミング」を徹底解説します。
本格的な台風シーズンを迎える前に、ぜひご家族で確認しておいてください!
救命士が断言!「長靴」と「傘」が命取りになる理由
大雨の中、避難所へ向かうシーンを想像してください。
なぜ、普段使っている雨具が災害時には凶器に変わってしまうのでしょうか。
❌ 長靴がNGな理由:水が入ると「鉄の重り」になる
膝下まで水が浸水している道を歩くとき、長靴の中に泥水が入り込むと、長靴は足に吸い付き、数十キロの重りのように足枷となります。
大人でも足を引き抜くことができなくなり、最悪の場合、そのままバランスを崩して水に飲み込まれてしまいます。
❌ 傘がNGな理由:両手が塞がり、風で煽られる
大雨の時は、強風も伴うことがほとんどです。
傘を差していると風に煽られて転倒のリスクが跳ね上がります。
さらに、片手で傘を持ち、もう片方の手でお子さんと手を繋いでしまったら?
いざという時、とっさに障害物を避けたり、手をついて身を守ったりすることが一切できなくなります。
命を守る!大雨避難の「正しいスタイル」
では、いざ避難指示が出た時、どのような服装で外に出るのが正解なのでしょうか。
- ⭕️ 靴:履き慣れた「スニーカー」の紐をきつく締める
水の中を歩くなら、濡れることを前提に「スニーカー」を選んでください。底がしっかりしていて脱げにくく、泥水の中でも歩きやすいです。 - ⭕️ 服装:明るい色の「レインコート(雨合羽)」
両手を完全にフリーにするため、必ず上下セパレート型のレインコート(子供は着せやすいポンチョでも可)を着用します。夜間や視界が悪い中でも見つけてもらいやすいよう、黄色やオレンジなどの目立つ色がベストです。 - ⭕️ 傘の正しい使い方:「差す」のではなく「杖」にする
傘は頭の上に差すのではなく、畳んだ状態で「前方の地面を突きながら歩くための杖(プローブ)」として使ってください。泥水で濁っていると、マンホールのフタが外れていたり、側溝があったりしても全く見えません。一歩一歩、足元の安全を確認しながら進むための命綱になります。
絶対に外に出ない「垂直避難」という選択
救急・救助の鉄則として、絶対に覚えておいてほしいことがあります。
それは、「すでに水が深く溜まっているなら、絶対に外に出ない(避難所に行かない)」という決断です。
目安として、大人の膝下(約50cm)、子供のふくらはぎ(約20cm)まで水が来ている場合は、激しい水の流れに足を取られて流される危険性が極めて高くなります。
また、夜間で外の状況が全く見えない時も同様です。
このような状況では、無理に避難所を目指すのは自殺行為です。
自宅の2階以上、あるいは近くにある頑丈で高い建物の上階へ移動する「垂直避難」を選択してください。
「逃げないこと」が、最高の避難になるケースがあることを覚えておきましょう。
救命士推奨!大雨に備える必須アイテム
大雨での避難や、停電してしまった自宅での垂直避難を乗り切るため、防災リュックに絶対に入れておくべきアイテムを2つ紹介します。
① 防水・撥水タイプの「ヘッドライト」
傘がNGである以上、暗闇の中で両手を空けて視界を確保するにはヘッドライトが必須です。
水しぶきを浴びても壊れない「防水・防滴仕様」のものを選んでください。
- 【救命士のおすすめ:防水LEDヘッドライト】
② スマホを守る「防水ドライバッグ」
災害時、スマホは家族との連絡や情報収集のための「命綱」です。
ズボンのポケットに入れていると、腰まで水に浸かった瞬間に壊れてしまいます。
アウトドア用の完全防水ドライバッグを一つ用意しておき、スマホやモバイルバッテリー、貴重品を入れてからリュックにしまってください。
- 【おすすめ:完全防水ドライバッグ】
まとめ:大雨の避難は「明るいうちに、歩きやすい靴で」
「雨だから長靴」という日常の常識は、災害時には通用しません。
大雨被害から家族を守る最大のポイントは、「水が足首を超える前、明るいうちに、スニーカーとレインコートで早めに避難すること」です。
我が家の娘にも、「長靴は普段の水たまり用!いざという時はパパと一緒にスニーカーで走るよ!」としっかり叩き込みました。
皆さんも、本格的な台風シーズンが来る前に、下駄箱にあるスニーカーとレインコートのサイズアウトがないか、ぜひ確認しておいてくださいね。
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