地震などの大規模災害時や、山の中などの急な事故の際、救急車がすぐに到着するとは限りません。
自力で歩けないケガ人を安全な場所へ移動させなければならない時、あなたの身の回りにあるものが「応急担架」に早変わりします。
いざという時にパニックにならないよう、今回は家庭や職場にある身近なアイテムを使った応急担架の作り方と、搬送時の重要な注意点を解説します。
ひと目でわかる応急担架の比較
状況や手元にあるアイテムに合わせて、最適な方法を選べるように一覧表にまとめました。特徴・適した状況
| 担架の種類 | 必要なアイテム | 特徴・適した状況 |
| 毛布と棒の担架 | 毛布1枚、物干し竿(丈夫な棒)2本 | 安定感が高く、最もスタンダードな方法。 |
| 衣服と棒の担架 | 上着(長袖・厚手)2〜3着、棒2本 | 毛布が無い屋外などで有効。上着の強度が重要。 |
| 毛布のみの担架 | 毛布またはシーツ1枚 | 棒が無い場合に有効。複数人で端を持つか、引きずって運び。 |
実践!応急担架の作り方
ここでは、特に代表的な3つの作り方をステップごとに解説します。
毛布と物干し竿で作る担架
人の体重がかかることで摩擦が生まれ、布がほどけなくなる仕組みを利用した非常に安全で実用的な担架です。
- 広げる: 毛布を地面に広げます。
- 1本目の棒: 毛布の端から1/3のところに、1本目の棒(物干し竿など)を置きます。
- 折り返す: 短い方の毛布の端を、棒を包み込むように折り返します。
- 2本目の棒: 折り返した毛布の端の少し内側に、2本目の棒を置きます。
- さらに折り返す: 反対側の長い毛布の端を、2本の棒を覆うように上から折り返します。

上着(ジャンパーなど)と物干し竿で作る担架
屋外で毛布がない場合に活躍します。
フリースや薄手のシャツではなく、ジャンパーや作業着など丈夫な素材を選んでください。
- 準備: 2〜3着の上着のジッパーやボタンをすべてしっかりと閉めます。
- 袖を通す: 上着の袖を内側(裏返しにするようなイメージ)に押し込み、その袖のトンネルに2本の棒を通します。
- 連結: 棒に沿って2〜3着の上着を隙間なく並べれば完成です。

毛布(シーツ)のみで作る担架
どうしても棒が見つからない場合は、毛布やシーツ単体でも代用可能です。
- 複数人で持ち上げる場合: 毛布の端を内側にくるくると硬く巻き込み、持ち手を作ります。両側に3人ずつ(計6人)など、できるだけ多くの人数で巻き込んだ部分をしっかり握って持ち上げます。
- 1〜2人で運ぶ場合(引きずり法): ケガ人を毛布に乗せ、頭側の毛布の端をまとめて持ち、床や地面を滑らせるように引きずって移動させます。

搬送時の絶対に守るべき注意点
応急担架は非常に便利ですが、間違った運び方をするとケガ人をさらに傷つけたり、救助者自身がケガをしてしまう恐れがあります。
- 足側を進行方向に向ける
搬送時は、ケガ人の足側を進行方向に向けて進むのが基本です。これにより、頭側にいる救助者がケガ人の顔色や表情(苦しそうにしていないか)を常に観察することができます。 - 声をかけながら運ぶ
「今から持ち上げますよ」「段差がありますよ」など、常に声をかけて安心させてあげてください。視界が制限されているケガ人は、無言で運ばれると強い恐怖を感じます。 - 救助者の腰を守る
担架を持ち上げる時は、腰を曲げて腕の力だけで持ち上げるのではなく、しっかりと膝を曲げて腰を落とし、足の力を使って持ち上げてください。救助者がぎっくり腰になってしまっては元も子もありません。
⚠️ 頸部・脊髄損傷が疑われる場合は動かさない
交通事故や高所からの転落などで、首や背中の骨を折っている可能性がある場合は、原則として動かしてはいけません。
素人が無理に動かすと、神経を傷つけて致命傷や麻痺につながる恐れがあります。
周囲の安全が確保されているなら、救急隊の到着を待ちましょう。
まとめ
応急担架の作り方は、知っているだけで救える命の確率をグッと引き上げてくれます。
「いざという時」は明日来るかもしれません。
知識として頭の片隅に入れておくだけでなく、ぜひ一度、ご家庭にある毛布と物干し竿を使って、ご家族で担架作りの練習をしてみてください。
実際に作ってみることで、布の摩擦の強さや持ち上げる際の重さを実感できるはずです。

